竹の魅力とその可能性
—テオリが創り出す竹家具の美
岡山県倉敷市の真備町。
この地に広がる美しい竹林を再生し、竹を活用した家具を製作するブランド「テオリ」をご存じでしょうか。
和の趣を感じさせつつ、モダンで洗練されたデザインが特徴のテオリは、自然との共生を大切にし、現代の暮らしに新たな価値を提案しています。
今回は、竹という素材の特性、テオリの取り組み、そしてその魅力的な製品について詳しくご紹介します。
▼目次
- 1.持続可能な竹の成長サイクル
- 2.竹が持つ驚きの特性
・木材以上の強度
・寸法の安定性
・抗菌性と調湿性
・リラックス効果をもたらす芳香成分
・美しい外観と触感
・加工の難しさ - 3.デザインと伝統の融合
- 4.竹家具が叶える持続可能な暮らし
- 5.高級感と日本的な美意識
1.持続可能な竹の成長サイクル
竹は、他の木材とは異なる驚異的な成長スピードを誇ります。
一般的な木材が家具として使用できるまで数十年かかるのに対し、竹はわずか3〜5年で成熟します。
また、竹には地下茎があり、一度収穫しても枯れることがありません。
いわゆる駆除の難しい、非常に厄介な植物として挙げられる一方で、この特性が持続可能な素材として注目させる要因の一つとなっています。
テオリは、この成長サイクルが早い孟宗竹を主に使用し、真備町の竹林再生にも力を注いでいます。
荒れ果てた竹林を整備し、地域の自然環境を保全する取り組みにより、環境にも地域社会にも貢献しています。
2.竹が持つ驚きの特性
木材以上の強度
竹の比重【0.76】は、木材の中でも高いと言われているナラの比重【0.63】よりも更に高い比重値を持ち、コンクリートに匹敵する圧縮強度と鉄鋼に匹敵する引張強度を兼ね備えると言われています。
家具の厚みを薄く仕上げても十分な耐久性を持たせることが可能であるため、椅子などの脚物家具においても高いデザイン性と実用性を両立できます。
寸法の安定性
竹は長さに対しての狂いが少ない素材です。
木材が乾燥すると伸縮し、歪みが生じてしまうのに対し、竹は乾燥してもほぼ伸縮しません。
そのため、精密さが求められる家具にも適しています。
竹製の定規が使われているのも、この安定性を証明しています。
抗菌性と調湿性
竹には「タケキノン」と呼ばれる抗菌成分が含まれており、古くから水筒や飯盒、笹の葉など食品保存に利用されてきました。また、湿度を調整する性質があるため、室内環境を快適に保つ素材としても優秀です。
リラックス効果をもたらす芳香成分
竹からは「テルペン」という自然の香りが漂い、心を落ち着かせる効果があります。竹の家具を置くことで、まるで森林浴をしているかのような癒しの空間を作り出します。
美しい外観と触感
竹の滑らかな表面と自然な光沢に加え、その独特な繊維模様は、家具一つひとつに個性を与え、見る人や触れる人に特別感をもたらします。さらに、竹の凛とした美しさが日本人の感性にぴったりとフィットし、住空間を上品に演出します。
加工の難しさ
竹は非常に硬いため加工が難しく、かつては家具には不向きな素材とされていました。しかし、テオリはダイヤの刃を使用するなど試行錯誤を重ね、製品化に成功しました。また、竹は夏場に糖分を多く含み、虫が付きやすい特性がありますが、テオリは独自の防虫処理方法を確立し、安心して使用できる製品を提供しています。
3.デザインと伝統の融合
テオリの家具は、竹の特性を活かしたデザインと伝統技術の融合が魅力です。
同社はこれまでに、世界三大デザイン賞の一つである「iFデザインアワード2024」や「グッドデザイン賞」を受賞しており、世界的にも高い評価を得ています。
さらに、2008年の洞爺湖サミットでは、ファーストレディ用の椅子にも採用されました。
テオリの製品ラインナップには、テーブルや椅子、収納家具などがあり、そのすべてが竹の温かみと洗練されたデザインを兼ね備えています。
例えば、竹の滑らかな曲線としなやかさを活かしたチェアは、見た目だけでなく座り心地も快適です。
また、シンプルながらも存在感のあるテーブルは、どのようなインテリアにも馴染む万能さを持っています。
4.竹家具が叶える持続可能な暮らし
竹家具は、環境への配慮と高い機能性、美しさを兼ね備えた理想的な選択肢です。
成長が早く、老朽化しにくい竹は、長期間にわたり愛用できる素材として注目されています。
また、テオリでは試験的に原料となる竹を地元や近隣の人々から買い取る取り組みも進めています。
この試みは、地域の竹林管理を促進するだけでなく、地元経済への還元にも繋がっています。
地元住民が管理する竹林から供給される竹を活用することで、竹林の荒廃防止や生態系保全にも貢献しています。
この他にも、竹から作られた天然土壌改良材「地竹」の開発・販売を行ったりなど、竹を使ったサスティナブルな循環を目指しています。
5.高級感と日本的な美意識
竹の滑らかで艶のある表面、しなやかでまっすぐに伸びるその姿は、まさに自然が生み出した芸術品です。
その凛とした佇まいは、日本人が古くから持つ美的感覚に深く響きます。
竹家具が持つ高級感や上質感は、住まいに格調高い雰囲気をもたらし、そこに暮らす人々に静かな誇りと満足感を与えます。
竹の持つ美しさは、一つひとつ異なる表情を見せ、長い年月を経ても色あせることはありません。
そのため、竹家具はただの道具ではなく、家族とともに歴史を紡ぐ「一生もの」としての存在感を放ちます。
竹の魅力を身近に感じながら、日々の暮らしに新たな彩りを添えるテオリの家具。
ぜひその特別な魅力を、手に取って確かめてください。